ちょっと買い物に、とショッピングモールまで足を運んだ。休日というだけあってなかなか混み合っている。同い年くらいの女の子の並んで歩く姿に少し自分が寂しく思えたけど、私はそういうのはあまり気にしないのですぐ目線を前に戻した。

新しい服に切れてしまいそうだったシャンプー、錫也と哉太とで食べるお菓子。あ、今日の夕食にパンを買っていこう、とお気に入りのパン屋へ向かった。



「あれ?名字だ」

「あ、陽日先生」



会計を済ませ、店を出た先で陽日先生ばったり会った。



「名字も買い物…だよな。ここにいるってことは」

「はい。陽日先生も買い物するんですね」

「おお俺だって買い物くらいするっつーの!」



陽日先生はあまり気を使わずに話せるから、凄く楽しい。同い年だったら良かったのにな。



「あ、それ。あそこのパン屋ですよね」

「おう!俺のお気に入り!」

「私もですよー。メロンパンがイチオシです」

「そうなのか!?俺いつもカレーパンかサンドイッチしか食べてなかったな」

「今度食べてみてくださいね」

「おうっ」



それから学園に着くまで陽日先生と一緒でいろんな話をしてたくさん笑って、最後は寮の前まで送ってくれた。ほんとに、生徒思いだな。


寮に入る寸前、陽日先生が見ている気がして振り返ったけれど、小さくなった彼の背中が見えるだけだった。











―僕のこころ、君知らず―
(きっと、気のせい)






お題提供:ポケットに拳銃

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実は直獅→主人公なんです
実は直獅は振り返ってたんです
…分かりにくいですね




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