梨本はホント良い奴だと思う。俺が言うんだから確かだ。一生友達でいたいよ、うん。隣で馬鹿やって笑って、たまに泣いて。

もちろん梨本も俺を一番に信頼してる。自惚れ…じゃないと信じたい。お互いに何でも相談するし、サッカーのこととか、勉強のこととか、

恋愛のこととか。



「梨本ーっ。週末買い物行かね?」

「わりい…週末は予定入ってんだわ…」

「ははーん。名字とか?いいよ、行ってこいよ!」

「すまんっ!今度な!」

「おう!」



初めて名字のことを相談されたときは内心動揺しまくりだった。俺も名字が好きだったからだ。打ち明けてしまえばよかったのかも知れない。でも身を引いた。俺はそこまで強くない。それに梨本なら許せると思った。



『粟田…俺あいつに言ったよ』



遅れて部活に来た梨本の半泣きの笑顔。良かったな、って一緒に喜べたのはやっぱりお前だったからだよ。もし逆の立場だったとしても、お前なら一緒になって喜んでくれるはずだろ?










「粟田…俺どうしたらいいかわかんねえよ。だってお前、」



いいんだよ。今更俺の気持ちとか、友達だからとかさ。先に言ったのはお前。引いたのは俺。それだけだろ?だから顔上げろよ。いつまで泣いて謝ってんだよ。お前なら大丈夫だから。喧嘩ぐらいでお前らは離れないだろ?名字にだってお前しかいねーんだから。



「お前が弱気になってどうすんだよ」



「俺が奪っちまうぞ?」










―友達だから、と言い訳で逃げて―
(消えたはずの感情がじわり、じわりと)






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