綺麗な色。

ぼんやりと修吾の髪を眺めて無意識にその青へ指を伸ばす。するりと指をすり抜けていく滑らかさに自分のそれと比べてしまい、なんだか負けた気分だ。私と違って熱を当てたりしていないだろうから。くるん、くるんと指先を動かしていると、彼の目だけがこちらを向いた。



「減るもんじゃないし、不快という訳じゃないけど」

「くすぐったい?」

「そんな、感じ」



本を捲るのを止めた彼の手に私の手を重ねる。その瞬間に彼が僅かに高まる。私から触れたときはいつもそうだ。現に、先程髪に触れた時もわかりやすい反応であった。そっちからは特に気にせず触れてくるくせに、とんだウブ男である。変なところで。



「修吾」



名前を呼べばゆっくりと首を回して顔を私に向けた。人よりほんの少し表情に乏しい彼はなんとも感情を読み取れない顔をしている。



「君といると居心地がいいのはいつもだけど」



唐突に言葉を発せられ面食らったが、やっとの彼からのアクションなので大人しく耳を傾ける。



「今日は加えて“僕の部屋”に君がいる。一番気が緩む空間に君がいる。だからかな、すごく安心するんだ」



重ねていた手が不意に絡められる。意識がそちらへ飛んだ瞬間に額へ触れる感触。前髪を避けてもう一度。ゆっくりと離れて普段は見せない、私といるときだけの随分と穏やかで優しい目をしていた。私は仕返し、と皺の寄っていない眉間に口付けた。目を伏せ、泳がすとは相変わらずである。

ぱたり、と本が閉じられ彼は立ち上がった。見上げれは「おいで。昼寝でもしようか」と手をさし伸べられる。私はその手に自分のを重ねた。彼は昼寝を口実に何処へ連れて行ってくれるのだろうか。





何処へでも、何処までも



Happy birthday
随分と遅れてしまいました




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