人は死んだら星になるという。
「十四郎はさ、」
「あァ?」
「十四郎は私が死んだら星になって見守って欲しい?夜な夜な枕元に会いに来て欲しい?」
「んだそりゃ…」
十四郎の部屋で二人、何をする訳でも無く寝転んでいる。空けたままの窓から満天の星空が覗く。
「そりゃァ、見守っててもらいてーな。星でも月でもいいが」
「そーだよねー。お化けになって出て来たら怖いもんねー」
「……怖くねェ」
十四郎が吐いた煙が空を覆い、星空が霞んだ。煙たい、と文句を言おうと向きを変えれば、十四郎もこちらを向いていた。
「出来れば、こうやって近くで見守ってくれりゃぁ、ありがてェが…」
でも幽霊はなァ…、ともごもごしている十四郎の顔はいつもの鬼の副長なんかじゃなくて、ただの“土方十四郎”だった。
「大丈夫。私は十四郎より先に死なないから。ずっと近くで見ててあげる」
珍しく照れた十四郎に一つ、キスを落とした。
―流れ星がひとつふたつみっつ―
(見えなくたって僕らは幸せ)
お題提供:
雲の空耳と独り言+α様