「マルコってM、…だよなぁ」
全てはジャンルカのこの発言から始まった。
いきなりMと言われても、何て言うか言いにくいけどそっちを想像してしまうわけで。まあオレもお年頃だし、意識だってするけど…。
「な、いきなり変なこと言うなよ!」
顔も体もぽかぽか火照ってきた。恥ずかしいんだな…恥ずかしいよ。ジャンルカはそういうこと、真顔で言うから。もっと恥じらいとやらを持ってほしいというか。
「何言ってんの?マルコはMじゃん。名前が」
名前が、って何だよ、って突っ込みたくなった。じゃあオレの勘違いか。すごく恥ずかしいよ。
ジャンルカが口角を上げてこちらを見る。
やばい。どうやらスイッチを入れてしまったみたいだ。ズンズンと迫り来る狼に脅えるウサギの図。それが今のオレたち。
「マルコってさぁ…」
「な、なんだよ…っ」
「M、だよな」
「違う!違うぞ!」
「ふーん…じゃあ、試してみようよ」
「え…」
「いっ、…っいた、っ」
「くっ…キツい…、な」
「ジャン、っ、ぬ、抜いて…痛い、から」
くそう。なんでこんな目にあってるんだ。ここにこれを、なんて、おかしいのに体は反応してしまって。中に埋まっているジャンルカをぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
こういう行為は今日が初めてなわけでもないけど、やっぱり慣れない。
「マルコ、前みたいに動いて?」
「っい、や…だっ、」
「嫌なの?ここはこんなに締め付けて離さないのに?淫乱だな」
「ふあ、だっ、だめ…っあ」
自分から快楽を欲するなんて恥ずかしすぎる。だけどジャンルカは動いてくれそうもない。だからオレは痺れを切らして自分で動くんだ。
また前みたい両者共にまったく動かず挙げ句の果てにはジャンルカが萎えてしまって生殺しになってしまうのはもう嫌だ。
ゆるゆると腰を上下に動かすと、それに合わせて下から突き上げてくる。腰が下りた瞬間に突き上げられて、先端が良いところに当たって…なんかもう吹っ切れそう。
「んっ、ん…は、ジャン…っ」
「気持ちいい?ほらやっぱりマルコはMだ…」
「ちが、うっ…ひゃ、そこ!やめっ…!」
ああもう!オレはMじゃないのに!
なんて思ったけどね、ジャンルカの前ではM、なのかもしれない。最中に言われる罵りが良かったりとか、なんていうかジャンルカの言葉一つ一つが気持ちいいなんて…
「ジャンルカ、覚えてろよ…っ」
「うん、マルコがMじゃなくてドMってこと、覚えておく」
「そうじゃないってば!」