‐ねえ!この前学園に来てたあの白い男の人!すっごい格好良かったよね〜!うん、あの人アンリミテッド学園の生徒会長なんだって!へぇ〜だからうちに来てたのか〜!はー生徒会長はいっぱいお話したんだろうな〜。いいなー羨ましい!私もあの人と喋ってみたい!緊張で上手く喋れないよ〜!私は、影でずっと見てる方がいいな。‐



「みんなあいつにメロメロだな…不潔だ…」

「いいんじゃないかな。僕は別になんとも思わないけど」

「そうそうお前はそれでいいの。あんな奴に恋なんてしたら…」

「カイ…」

「ま、お前に限ってありえないだろうけど!さーっ昼ごはんでも食べに行くとするか!」

「カイ!お前まだ仕事が終わってないだろう!逃げるな!」

「木屋先輩こわ〜い!俺もう空腹マックスなんで!じゃ!」


ジメジメとした空気もカラッとなり、もう夏も目の前だ。控えめな温度に設定されたこの生徒会室のソファに座って、ぼんやりと景色を眺めている。これが今のブームってやつなのさ。この前は、アンリミテッド学園の生徒会長である白竜がわざわざ女学院までやってきた。何やら合同文化祭とやらの打ち合わせだったみたい(結局カイに任せちゃったんだよね)文化祭が開催されるのは秋だって言うのに、ミーティングが早すぎるよ。

そういえば、もうすぐテストがあって、そのテストが終われば終業式。そして、夏休みに入るんだっけ。あんまり詳しくは知らない。もう何度も繰り返してきているのに覚えていない。それくらいどうでもいいことだったから。
夏休みに入るとみんなそれぞれの実家に帰省してしまうんだ。だから、この学園は僕以外みんないなくなってしまう。僕は帰らない。帰りたくないんだ。理由は置いといて、あ、でも、妹に会いたい。妹だけに会いたい。そんなことを考えながらもまた帰らないのだけど。
夏休みと年末は、このゴッドエデンから人がいなくなってしまう。残っているのは島に住む動物達だけだった。
カイが、いつも僕を連れて島から出ようとするもんだから、僕は終業式が終わると同時に行方をくらましている。これがまた見つからなくてね、僕はかくれんぼの才能があるみたいだ。カイが僕を連れて帰ろうとする訳は、僕の親に連れて帰ってこいと頼まれているから。誰が帰るもんか、あんな、あんな家…。


「シュウ?どうした?」

「あ、いや、考え事をね」

「あー…もうすぐだもんな〜今回は逃げるなよ?」

「逃げてないよ。タイミングが悪いだけだろ」

「はいはい。今年はちゃんと二回帰るんだぞ。俺ももうお前の親に叱られるのは散々だよ」


とにかく、今年も僕は帰省なんてしないからね!
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テーマ「人外ファンタジー」
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