サクッ
あ、何か切れた。一体何が切れたのかな。
「いってー!!指切ったー!!」
キッチンから聞こえる断末魔というか只の叫びというか。
特には気にしなかったがやっぱり気になる。慌てふためくマルコをチラリと見れば、赤い血が流れ落ちる指に向かってフーフーと息を吹きかけていた。
「ジャン…!指切った…」
「さっき騒いでいたから知っている…絆創膏は?」
「あ、それそれ!なかなか血が止まらなくてさー」
マルコは血が流れ落ちる自分の指をくわえて、片手で器用に絆創膏を捲る。口内に広がる血の味に少し顔を歪めながらもちゅうちゅうと吸い付くその姿は、何というか…。
「…ジャン?わ、わわお前何してんだよ!!!!」
マルコの口から指を引き抜いて、それを自分の口内に招き入れる。目の前には顔を赤くしたマルコが口をパクパクとさせながら震えていた。自分でも何がしたくて何を考えていたのかわからない。その結果、気が付けばこうなっていた。
「や、やめ、ろ…!」
「消毒したのか?消毒しないまま絆創膏を貼ったって意味がないだろ」
「する!するから…っ、離せ…!」
ちゅ、と音を立てて指を解放するとマルコは素早く救急箱を探した。そんなマルコが面白くて、少し笑ってしまったのはまた別の話。