究極究極ってさ。君、バカなの?ああ、バカだったね。そんな壊れたラジカセみたいに同じ単語を繰り返してさ。究極の次は剣城剣城。またか。もういい加減にしてほしいんだけどなぁ。どうして僕、こんな人とツートップなの?絶対に無理だと思う。まず息が合わないし。そして価値観が違いすぎる。それと、僕、こんなバカのオモリなんて嫌だ、ごめんだ。勘弁してほしいよね。チームゼロ結成の時、僕らエンシャントダークの選ばれたメンバーがアンリミテッドシャイニングの選ばれたメンバーと顔合わせした時、いや、そのもっと前。白竜が森の、僕らのグラウンドで勝手に練習してた時、…いや、もっともっと前だ。あれは白竜が初めてこのゴッドエデンに来た時だ。あの頃からどこか気に食わなかった。そういえば白竜、あの時まだ幼かったっけ。今よりずいぶん小さかった気がする。シード育成としてこの島に連れて来られた白竜の目は今より死んでいた。それはまるで誘拐されて親と離れ離れになった子供の目。そんな彼を見て、可哀想だな、…なんて思わなかった。けれど日が経つにつれて白竜の目に輝きが戻った。生き生きと、していた。そんな彼を試してみたくて勝負を挑んだこともあった。結果は引き分けだったけど向こうもかなりの本気をぶつけてくれて嬉しかったんだ。命を吹き返したその目に、僕を映してほしかった。なのに。君は常に彼のことばかり気にかけていて、僕なんて見てくれない。僕はもうこの世の人間ではないから?君には必要ない存在?ねえ白竜。僕ね、ずっと君のこと見てきたんだ。雨に打たれながらボールを追いかける君。寒くても薄着で頑張る君。意外としっかりしてるところもあって、チームのみんなから慕われてる君。こんなにも近くで見てるのに、こんなにも遠いんだ。手を伸ばしたって届きやしないさ。届くもんか。
昔からずっと、この島に連れてこられる子どもたちを観察していたけど、君ほど魅力的な子はいなかった。君が、今までの一番だ。ねえ白りゅ

「っ…?ここ…」

「気づいたかシュウ、…まったく、らしくないぞ。顔面にボールなんて…」

「ん…僕何して…」

「試合中に木屋がパスしたボールを顔面で受け止めたんだ。お前、キーパーになりたいのか?」

「…ははっ、そうかもね…よく、わかんないけど…」


過去の自分を夢見てたんだ。ビックリだね。いろいろと思い出して恥ずかしくなって枕に顔を埋めた。そういえば、布団で寝るのも久しぶりだなぁ。もっとビックリしたのは、ここが医務室ではなく、白竜の自室だってこと。それだけで心臓がドキドキ…あ、僕、今生きてるみたい!ドキドキしてる!こんな気持ちも久しぶりだ。


「僕ね、昔…白竜のこと嫌いだった。嫌いっていうか、んー…嫌いだった」

「何だそれは」

「でもね、今は好きだよ?」

「…ッ!そういうことを、いきなり言うな!!」

「照れてる?ふふっ」


白竜のことは嫌いじゃない。でも、剣城を追いかける白竜は嫌いだった。それは嫉妬だってカイが言ってたけど、嫉妬、なんだ…。あの頃の自分は白竜やみんなのことを子ども扱いしていたけど、誰よりも子どもなのは僕だったのかもしれないね。


*未来を開いて過去とサヨナラ*

(死ぬにはまだ若すぎた。もっと生きて君を感じたかった。)
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -