「白竜〜僕お腹空いちゃった…何か作ってよ」

ゴッドエデン閉鎖後、シュウは消えた。なのに今目の前でゴロゴロと転がりながら物欲しそうに見つめてくるこいつは誰だ?シュウだ。何故消えたはずのシュウがいるのかと聞かれると、まあ長くはなる。俺も始めは夢でも見ているのではないかと思ったさ。自分の頬を抓ってみれば痛かったし、目も覚めている、意識もはっきりしている。これは夢じゃない。シュウが、目の前に。


「ねえ白竜聞いてる?僕お腹空いた」

「…ああ、三回くらい聞いた」

「何か作ってよ、ホットケーキ」

「ホットケーキミックスはあるが牛乳がない」

「えー…うーんどうしよう?」

窓の外をぼんやりと見つめながらシュウは自分の髪の毛を指で絡め取りながら弄んでいる。突然、あっ!っと声を上げると、シュウは俺のそばに駆け寄ってニコニコと笑った。相変わらず何を考えているのかわからない奴だ。
久しぶりに見たシュウは、前に会った時とあまり変わっていない。いや、少し大人っぽく…なっただろうか?じっとシュウの顔を見ていたのが気に食わなかったのか、シュウはむっとした表情で俺の頬を引っ張る。

「白竜キスしようか」

「!?な、お前…」

「キスしたらお腹いっぱいなるんだよ?ね?」

「ね?じゃなくてだな…シュウ…お前は……はあ」

「キスしてくれたらもう今日はわがまま言わない」

意外と真剣なシュウの視線が心臓を掴むようなその感覚。前にもこんなことがあった。
こうなると俺は流され易い。それは惚れた弱みなのだろう。シュウだって俺がこういうやり方に弱いのを知っていてちゃんと使い分けている。とんだ策士だな。
一息飲んで、落ち着かない手をシュウの肩に置いてやると口元を緩めて微笑んだ。

「んぅ…はくりゅ、ぅ…」

「…っ、?」

「も、と、してよ…」


なんだかんだで流されてしまうのもあれだが、それよりもキスするたびに毎回こんな反応をされては心臓が持たん。助けてくれ、剣城!

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