「おいタラシ、構えよ」


振り返ればそこにはマルコがいた。
練習が終わった後、暑さで流れ落ちる汗をタオルに吸収させながら水分補給をしていた時。時間も夕方を越えてもう夜、外はグラウンドの照明がなければ真っ暗だった。ぞろぞろとメンバーが宿舎に戻る中マルコとジャンルカはグラウンドにポツンと残される。ジャンルカは返答もせずに後片付けを始めるがマルコに手首を掴まれて動きが止まった。


「おい…返事くらいしろよ」

「ああ…好きにしたら?」

「よしじゃあ今からジャンルカの部屋に行くからな!」

「は?せめてシャワーくらい浴びてくれ…というよりオレもシャワー浴びたい」


練習で流した汗で体がベトベトなんだ。
そう言い放ってマルコを少し突き放したつもりがマルコにとっては逆効果だったらしく、この暑い中マルコはジャンルカの腰に腕を回して体を密着させてきた。まあいつもの事だから大して驚きはしなかったものの、ユニフォームが汗で湿っているのにそれもお構いなしにマルコはぎゅっと抱きつく。


「シャワーなんて後でいいから、」

「オレは浴びたい」

「じゃあ二人で浴びよう」

「何でそうなるんだ…お前…誘ってるのか…?」



マルコの丸い目が更に丸くなって、だんだん顔が赤くなっていく。気まずそうに視線をずらして、悪いかよ、と呟いた。
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