「髪、切ったんだ」
「まあな」
ジャンルカの髪が少し短くなっていた。
もうしばらくは会っていなかったけれど最後に会った時よりも髪が短くなっていたのですぐにわかった。
よく見える首もとが妙にセクシーで、思わず息を飲む。ジャンルカって、こんなに美人だったっけ、と眉間にシワを寄せた。
「マルコ?」
「え…あ、ああ何にもないよ…」
「…?」
変に意識をしすぎてジャンルカが見れない。早くなる心臓の鼓動。ジャンルカへの好きが、溢れ出す瞬間。
そっと隣に駆け寄って、ぎこちなく服の袖口を掴むとジャンルカはフッと笑った。
やることなすこと、ジャンルカに知られているのかもしれない。
「前の髪型もいいけど、今の髪型もかっこいいよ、ジャンルカ」
「、…ありがとう…」
珍しくジャンルカがほんのり頬を染めてそっぽを向いた。ジャンルカが照れたり恥ずかしくなったりした時は早足になる。オレを振り解くかのようなスピードでスタスタと歩いていくジャンルカを追いかけていく。
「…本当に、かっこいいよ…」
聞こえないくらいの大きさで呟くと、ジャンルカがピタリと止まる。
どうやらばっちり聞こえていたみたいだ。