「マルコ…」

「…………」


あのメールをジャンルカに送信してからずっと、頭の中でどういう風に説明をしようとか、やっぱり隠したままの方が良いのではないのかと様々な考えが入り混じっていて、頭がパンクしそうだった。いざジャンルカの目の前に立つと、今まで必死に考えてきた事を一瞬で泡に変えてしまい、なかなか話を切り出せない。


(あのマルコがこんなに改まって…何かあったのか…?)


ジャンルカが心配そうにオレを見つめる。やっぱり、拒絶されるのが怖い…でも言わなければ、の繰り返し。
一息飲み込んで、オレは持っていた紙袋を無言でジャンルカに渡す。その紙袋の中身は、最後にジャンルカと会ったあの日に着ていた服。中身を確認したジャンルカは驚いたような、どこか焦ったような眼差しをオレに向ける。


「お前…、まさか」

「………」

「オルマと知り合いなのか?」

「は…?」


ジャンルカはその服をまじまじと見つめている。どうやらまだわかっていない様子だったから、オレはもう壁にぶち当たる勢いで真実を告げた。


「オルマは、オレだよ…」

「え?オルマは女の子だけど?」

「…オレが女装、して…、」

「ん?女装?…えっ!?」

「……………鈍感」

「マルコ、もう一度最初から詳しく説明してくれないか…どうも理解に困る…」

「だから、!」


オルマの姿でジャンルカと初めて出会ったあの日から今日までの事を全て話した。案の定ジャンルカは衝撃のあまり相槌すら打ってくれなくて固まったまま。


「騙してごめん。だけど気づかないお前も悪いんだぞ…」

「…………」

「…じゃあ、オレは帰るね…」


心の中で、これじゃただの言い逃げじゃないかと。そう思ったけれども、そんなことより拒絶が怖い。

くるりとジャンルカに背を向けて歩き出すと、待てよ、という声と共に腕を掴まれた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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