「ただいま…」

「ん」

「……………」


帰宅していきなり見せられたメールの内容。寄り道して気を紛らわせてきたのにまた複雑な気持ちになってしまった。


「"今日は本当にごめん。"だって…ちょっと雲行き怪しい?」

「姉ちゃん楽しんでるだろ…オレはもうどうしたらいいかわかんないよ…」


はあ、と大きな溜め息を吐くほどに。
部屋の真ん中にぺたんと座り込んで溜め息ばっかりで、姉ちゃんは相変わらず一人で喋ってる、というかオレが返答していないからだけど。


「正体、バラした方がいいのかな…」

「バラしちゃうの?」

「だってこのままじゃオレもジャンルカも辛いだろ…でも、」


正体をバラすのがすごく怖かった。普段チームで仲良くしてる分余計に。このまま騙し通すのと、正体をバラすのではどっちがジャンルカを苦しめるのか…そう考えだしたらどんどん気分は落ちる。
拒絶されるのが怖くて、本当にどうしたらいいのかわからなかった。


「ジャンルカに正体をばらして、もし、嫌われたら…」

「あんたの趣味をバラすだけでしょ?別に誰がどんな趣味を持とうが人の勝手。あんたはあんたでジャンルカくんはジャンルカくん。もしそれで縁が切れたらそこまでの仲だったってことじゃない?うまい具合に割り切っていけばいいのよ…あんたはまだ若いんだし人生これからなんだからここで一つ縁がなくなったってまた次に新しい縁がくるはずよ」

「姉ちゃん…」

「ジャンルカくんとは長いんだし、今更変わった趣味をバラしたくらいで拒絶されないと思うけど?ほら、そんな顔しない!かわいい顔が台無し!」

「かわいいって言うなよ…オレ一応男だから」

「ま、あんたはジャンルカくんに依存しちゃってるからジャンルカくんに拒絶されたとしても求めるでしょ」


オレの癖毛をわしゃわしゃと揉んで慰めてくれる姉ちゃんの手が、すごく心を安らげてくれた。姉ちゃんは当たって砕けて強くなるスタンスだから、弟のオレにもその血は流れているはず。
決心したオレは姉ちゃんの携帯ではなく自分の携帯からジャンルカにメールを送信した。


"明日、話があるから練習が終わった後…オレに時間をください"
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