背番号10、という文字を毎日追いかけている。ウォーミングアップの時も、練習中も、食事中も、その姿が遠く離れて見えなくなるまでずっとずっと。10の文字がちらつく度に僕の小さな心臓はトクン、と音を立てる。聞こえないけれど、感じるんだ。ファンの女の子達と同じように僕もときめきを感じている。キャプテンが不在な今、彼がオルフェウスをまとめているのだけど。パオロ監督がいなくなって代わりにミスターKと言う男が監督になった。そこからみんなの態度が変わってチームがまとまらない。キャプテンの言うことも聞かずに好き勝手。でも僕は、たとえこんな状況でもキミの味方だよ。


「練習、長引いたな。今日はもう終わろう…!」

「フィディオ…無理してるだろ…」

「無理なんてしてないさ…ただ、心の奥から悲鳴は聞こえる…かな、」

「キャプテン、早く帰ってくるといいね」

「…うん。あ、アンジェロ、みんなのところに行かなくていいのか?」

「ここにいたい。フィディオと一緒に…」

「そっか、じゃあもうちょっとだけここにいよう」


控えめに掴んだ袖口がやけに熱い。心臓も舞い上がってリズミカルに鼓動を繰り返す。ぴっとりと彼の方に頬を寄せて目をうっすらと閉じた。







***
チームがバラついた時アンジェロだけフィディオの味方に見えたのは気のせいじゃないはず。


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