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01 香月朔夜 side




あーウゼェ


「おーい朔夜!昼ご飯食べに行こうぜ!」

「あ、ごめん立花。俺1人で食べる派だから…」

「えー別にいいじゃんか!皆で食べたほうが絶ッ対美味しいって!!なー海斗!」

「……俺は別に有里とだけでいい」

「海斗!」

「ほら、倉持もそう言ってるし、な?」

「うー…分かった。でも、明日はぜってぇに一緒に食べような!」

「はは…」


あーもう俺いつか血管ブチ切れて死ぬかもしんねぇ。まじで。
っていうかハゲたら絶対にお前のせいだぞ、立花有里。
将来バーコードハゲになったら呪ってやるからな!俺の親父まさにソレだから、遺伝子持ってんだからな、俺!
つーか倉持マジでうぜぇ。何睨んでんだよ。俺のほうが睨みてぇんだけど。

2年前までだったらブッチンきて殴りかかってたけど、今の俺は違う。
染めすぎて痛みまくった金…つーより白?みたいな髪は真っ黒に染めなおし(小学校以来だ)、一回も使った覚えの無い教科書を開いて真面目に生きてるんだ!!

この展開はアレだ、立花は"おうどう"ってやつだ。そっちに詳しい奴が言ってたからまず間違いない。
時期外れの転入生、編入試験は満点、頭大丈夫かって聞きたくなるようなズレまくりのカツラ、もうつっこむのも疲れる分厚い眼鏡。
アイツが自身満々に言っていたことを思い出す。

「絶対に叔父は理事長で、昔ヤンチャしてて、その頭的なやつが生徒会なの!案内してもらった時に副会長の作った笑みに気づいてー、食堂で会長にキスされてー、んで思いっきり蹴ってー、気に入られてー、俺様会長とかー腹黒副会長とかー双子会計とかー無口ワンコ書紀に気に入られてー、親衛隊に苛められつつも平気で近づいていくー、みたいな」

お前は預言者だったんだな、今まさにその展開を突き進んでいるぞ、立花は。
全て転入初日にそのイベントを終わらしているからな。
アイツがいれば飛び上がりそうな状況だったが、平穏を乱されることが大っ嫌いな俺にとっては災厄そのものでしかない。

だが1万歩譲りに譲ってまぁ俺に迷惑をかけないのであれば存在程度は許してやったかもしれないが、立花はそんな俺の仏心を裏切るかのようにベタベタベタベタ…
お前は俺の彼女かっ!って言いたくなるほどベタベタベタベタ…あー思い出しただけでイライラする。
どこ行くのも何するのも俺と一緒じゃなきゃ気に入らないらしく、結果どこ行っても何しても立花がついてくるという悪夢。
結果立花の金魚のフン…基生徒会の連中+αもゾロゾロとやってくることになり、俺のストレスは溜まる一方。

そろそろはけ口を探してもいいだろう?
平凡な日々を愛してはいるが、それを遵守しようとして我慢する気は全くもってない
人生やるときやんなきゃ潰れるだけだ。


「なー朔夜ー!」

「……何?立花」




取りあえず俺の名前を呼ぶな、立花。

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