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17



「――有里!」


バチバチと2人が睨みあっていると、後ろから例の取り巻き連中が現れたからもう最悪だ。


「急に食堂から走っていって…親衛隊の奴らに何かされるんじゃないかって心配したんだよ!?」


いつも薄く笑っているだけの副会長が息を乱しながら怒っているのはある意味新鮮だ。
他の奴らも必死な表情で立花を見ている。
確かに立花はこいつらに変化をもたらした。良くも悪くも…こいつらは、変わってしまった。
親衛隊持ちの奴らが一か所に集まったせいでザワザワと人も集まってきた。


「…戻ろう、椎名」

「はーいっと」


注目されることが大っ嫌いな俺のことを思い出したのか、不満げな顔をしながらも椎名は大人しく引き下がる。
そのことに安心してクルリと背を向けた、とき。


「待てって朔夜!俺も一緒に教室に戻る!」


ま た か
またお前は俺の努力を水の泡にする気なのか
せっかく椎名を落ちつけて教室に戻らせようとしたのに、お前はまた火に油を大量にそそぐ気なのか?
この場合の火は椎名ではない。火は、嫉妬の炎を吹きあがらせている取り巻き連中だ。


「別にこんな奴らいなくても俺たちが教室まで送っていってやる」

「そうだよ有里!」

「僕らと一緒に行こうよ!」

「…あいつら…不要…」

「ね?有里。そうしよう?」

「チッ…同じクラスの俺がいるってのに…」


会長を始めとする生徒会と倉持にこんなに言われても立花は首を縦に振らない。


「昼あんまり喋れなかったから、俺は朔夜と行きてーの!!」

「え、」


そんなこと俺は全く望んでおりませんが…
つーか俺に何か喋りかけるたんびに取り巻き共がうざったい視線を送ってくるのは勘弁してくれ。
いくら綺麗なカオしてても嫉妬に顔を歪ませる姿はあまり見たくはない。
やべーな、俺明日からマジでやばいかもしんねェ。
こんな光景を見ている親衛隊の奴らからビシビシと悪意に満ちた視線が突き刺さり、思わず頬がひきつる。


「…わかった、わかったから。もう早く行こう、立花」

「えーマジでェ…」

「ほら、椎名も早く行くぞ。もう授業が始まる」


非常に不満そうな顔をした椎名を無理やり引っ張り、ずんずんと歩いていく。
もう一々反論するのは時間の無駄だということを悟ったため、何も言わない。
この不愉快な時間を早く終わらせるため、いつもより早歩きで歩いていく。


「ちょっと根暗、有里を勝手に…」

「授業に遅れますのでこれで失礼します。先輩方も早く教室戻ったほうがいいですよ。あと、俺の名前は根暗ではありませんので」


にっこりと笑って言ってやったあと、もう振り返ることなくその場を立ち去ってやった
こんなこと言われるとは思っていなかったのか、もう会長たちは追ってこなかった。
……お前は追ってこなきゃ遅刻だぞ、倉持。



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