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――血痕の道(ブラッディ・ロード)


"牙"とあだ名されるその道の特徴とは、即ち"キレ"

"キレ"とは単なるスピードや瞬発力のことではない。静止状態からの凄まじい0加速。一瞬で到達するトップスピード

そして何よりも重要なトップスピードを瞬時に静止状態に戻るフル・ブレーキング能力

その0-100-0と言われる過酷な運動の核となるのは、柔らかく強靭な太ももの筋肉群

その膨大なエネルギーと牙の道のキレが合わさった時、大地は裂け――…


『――その衝撃波は巨大な"牙"と化す…』


それが、"牙の王璽"

そう呟く朱音の視界の先ではまさに一方的な展開で戦が繰り広げられていた

後ろに下がれば牙が襲いかかり、かと言って前へと踏み出せば待っているのはハンマーのパンチ

一見何の弱点も見つからないような最強タッグかと思われたが、それは時間制限がある

アキラの太ももから血が流れており、太ももにかなりの負担をかける"牙"はそう何発も撃てるものではないのだ

おそらく、次の一撃で決まる

相手より僅か一歩…いや半歩、一秒でも早く"前"に出た者が、勝つ

イッキとハンマーは純粋な殴り合いで、咢とアキラは牙で決着をつける

牙を2連撃で繰り出したアキラと、王璽なしで牙を放った咢

力はほぼ互角だった


『だけど……』


僅かに、ほんの少しだけ咢のほうが、弱い

カズが逃げろと叫ぶが、もう咢には動く力が残されていない


『咢……!』


このままだと咢が…!

あんな弱り切った状態であの牙をまともに食らったら、大怪我ではすまないかもしれない

最悪の結果が頭をよぎった、その時


「へっ…なんだよ、こんなトコにこんないい"追い風"があんじゃねーかヨ」


―――風が、吹く

突然現れたイッキは咢を抱え、その"牙"に乗った

風のA.T――"翼の道"

アキラの作った牙の檻が、2人…いや3人の力が合わさって作り出された風によって吹き飛ばされる


「このカビ臭ェ檻ん中に一体何大事にしまい込んでんのか知らねーけどよっ!おかげでとっくに腐ってんぜアンタの"羽"は!!」


驚きのあまり動けずにいるアキラ


「俺ならその檻ごと飛ぶね!!」


――全部かついで飛んでやらぁっ!


そう言い放ったイッキと咢の蹴りは、アキラへと直撃した



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