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「反乱軍のその志は評価してやってもいいが、奴らとアイツの間にはそれこそ絶望的な力の差ってのがある。いくら頑張ったって無理なもんは無理だ」
「まぁ…確かに、今の反乱軍じゃきっと足元にも及ばないでしょうね…」
「…そんなに弱いんか?」
「弱い、っつーよりも、リトが強すぎるんだよ。別次元のそれに普通の一般人が何百人集まろうと意味はねぇ」
よく分かっている、とでも言いたげな声色に俺は首を傾げる。
「カナタさんってそのリトと会ったことあるのか?」
「あるわけねぇだろ。変なこと考えんじゃねーよ」
しかし即答で返された言葉に、更に重ねて追及することができず無理やり納得せざるを得ない。
まぁ王様と(言い方は悪いけど)銀髪の人との関わりは見えないからただの気のせいかもしれないし。
「あれ、カナタさんまた刀買ったんですか?」
「あ?あぁ、これ?」
ウルの言う通り、カナタさんの腰にさしていた刀は2本から3本にへと増えていることに俺も気づく。
「買った、つーかもらった、だな。オーリのジジィが俺に押しつけてきたんだよ」
「カナタさん、あの何でも屋のところに行ってたんですか?」
「まぁな。"雉"に関する情報を少し買いに。コイツはついでにもらった刀だ」
ついで、と軽くカナタさんは言ったが、素人の俺から見ても何だか高級そうなオーラが出ていると分かる刀だ。
現に、ウルが刀に彫られている刀匠の印を見て目を見開いている。
「これ…これ、もしかしなくても…あの、"流牙(りゅうが)"…!?え、うそ…でもこの印はたぶん…」
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