silver wolf | ナノ




54



「まず頭の容姿だ」

「ふむ。簡潔に言えば脂でテカった顔、太って腹がでており見た目は悪趣味な成り金じゃな」


ジジィの言った人物像に俺の顔はひきつる。
情報の使い方を見る限り結構なヤり手だと思っていた分、その容姿には落胆を隠せない。
はぁ、とあからさまにため息をついた俺に、ジジィはクククとウザい笑い方をする。


「ふん。早とちりをするでない。あくまで先程の人物象は組織のトップ。"リーダー"ではない」

「はぁ?どういう意味だよ」

「言わば"トップ"は飾り。実質的なリーダー…指導者は他にいるというわけじゃ」

「へぇ……」


感心したように思わず呟く。
やはり"雉"には面白い奴がいるようだ。


「で?そのリーダーさんはどんな奴なんだよ」

「名前はお主のほうが知っておるのではないかのう?"かつての仲間"…だとしたら、」

「……ジジィ、テメェ死にてェんか?」


言い放たれた言葉に俺は殺気を隠そうともせずにジジィを睨みつけた。
魔力が漏れ出しているのか、周囲に小規模なカマイタチが発生してボロい部屋をさらにボロくさせていく。
今、あと一言でも余分な言葉を発すればその喉元に鋭い風の刃を食いこませてやるつもりでいる。
もちろんこれが冗談でないことはこのクソジジィも十分分かっているだろう…降参だと言わんばかりに肩をすくめた。


「フン。年寄りの戯言も聞き流せない程お前は小僧だったかのう」

「言っていいことと悪いことがあるってことぐらい、テメェのそのスカスカな脳みそでも分かるだろ?」


まだ苛立ちはおさまらないものの、俺は放出させていた魔力をもとに戻した。

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