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「今回欲しいのは盗賊団"雉"の頭領の情報だ」
「ほぉ…これはまた珍しいモンに手出すんじゃな」
"お前"が関わるのか、と暗に言われた気がしてジロリと睨みつける。
コイツはハッキリと口には出さないがきっと"俺"のことに関する情報を握っているはずだ。
だから時々こうやって謎かけのようなウザい言い方をしてくる。
「"雉"、キジ…いま一番良く聞く話題なのは間違いないなぁ。なにせ不夜城を今一番賑わしている連中だからな」
「で、オイタが過ぎたから俺らに依頼が回ってきたってワケ」
可哀想に、と全く思っていないのに呟くと鼻で笑われる。
「ふん。心にもないことをよくもヌケヌケと言えるもんだ。感心するよ」
「世渡り上手くなきゃ俺ら銀持ちは生きていけませんから」
「…で?頭の情報だっけな。欲しい情報(モン)は」
あっさりとスルーしてジジィは本格的な話へと進める。
もちろん俺もこれ以上戯言に付き合う気もないからそれに逆らうことなく話にのる。
「確実な奴ならいくらでも買ってやる。姿形、能力、組織形態…欲しいモンはそれこそ全てだ」
「いくら積むんだ?」
「言い値でいいぜ。こっちもこれが当たれば大金が入ってくるんだ。ケチったりはしねぇよ」
俺の景気のいい話に数秒考えた後、ジジィは乗ったと答える。
「このオーリ様が知ってることだったら何でも教えてやろう」
「情報に見合った分しか金は払わねぇからな」
キッチリと釘をさし、俺は口を開いた
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