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「まぁ余計なことは置いといて、今回の依頼達成証明は"雉"のアタマを潰すことだ」
生きていても死んでいてもそれは変わらない。とにかく"雉"の頭を捕まえればいいのだから。
だけどここで大きな問題にぶち当たる。
「頭、ですか…?」
「そう、姿形名前や性別すら分からない頭を、だ」
"雉"をまとめ上げている頭の存在は全くの謎に包まれている。
というか情報が入り乱れていてどれが真実か全く分からないのだ。
ある時は金髪に赤い目の背の高い美女だと聞き、その数日後には赤髪に青目の幼い少年だと言われる始末。
これは意図的に嘘の情報を流しているとしか考えようがなく、この頭が決してバカではないことは容易に伺える。
「だがまず間違いなく頭はあの街にいるはずだ。俺達で奴をおびき出して、潰す」
「……分かりました。僕はその際に街に被害がでないよう結界を張ればいいんですね」
その通り、と頷いてやれば途端嬉しそうな顔になるウル。
俺の魔術傾向は"破壊"でしかなく、誰かを守ったりするのにはあまり…というか全然向いていない。
目標を倒すことはできても代わりに街が半壊、なんて状態になったらシャレにならない。
森の奥とか人気のない場所だったら別にいいが、あーゆう人通りのかなり多い場所にはウルは必要不可欠となっている。
……いや、別に俺もやろうと思えばできるのだが、無駄な体力と精神力を使うからやりたくないだけだ。
「あぁ、あとは子守りかな」
「子守り…?一体誰の……」
「……俺のだって言いたいんだろ」
もはら諦めの域に達しているのか自ら自己申告してきたユウに思わず笑ってしまう。
もちろんユウのことを指して言っていたのだから間違いではない。
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