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「はい、カナタくん。しめて1,445リオン。耳を揃えてキッチリとお支払致します!」
奥から戻ってきたアイリスさんの手には袋が持たれていた。
それを無造作にカナタさんに投げてアイリスさんは椅子に座る。
「あーあ思わぬ出費だよぉ…」
「この俺を誤魔化そうとするからだ。いいベンキョー代だと思って今後に生かすんだな」
鼻で笑ったカナタさんは袋の中身を机の上にぶちまける。
中には金貨、銀貨、銅貨と…鋼色のコインがあった。
てゆーか本物初めて見たから!
「…よし、大丈夫だな」
確認し終えたカナタさんはまた袋にしまう。
その硬貨で、普通に3ヵ月生きていけるなんて…俄かには信じられない。
たぶん、こっちの人たちにとっては俺達の1万円札なんてただの紙切れ同然なんだろう。
「それでどうする?もう次の依頼受けておく?そこそこイイのキープしておいたけど」
「次の、か……」
そこでチラリと俺を見る。
「…な、なんだよ」
「しばらくコイツの面倒見てやらんといかんからなぁ…あんま高ランクのはやれねぇと思う」
つまり、俺はかなり足をひっぱってると。そう暗に言ってるんですね、カナタさんは
その嫌味ったらしい言い方にイラっとくるも実際問題それは事実なのだから何も言えない。
「あらら。あんまりイジめちゃダメよ?カナタくん」
「これぐらいがコイツにとっちゃ丁度いいんだよ」
……俺、このぐらいじゃ別に泣かないからな!
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