23
「だから私たちは何も知らないって!」
「500」
「無理。絶対に嫌よ」
「500」
「…ねぇ、だから無理だって!私のお給料減らされちゃうじゃない!」
「500」
「……100.これ以上は無理よ。」
「450」
「…200」
「400」
「〜〜〜っ分かった!300!これ以上は絶対に何があっても上げないわよ!!」
「よし。300リオンで手ェうつか」
満足げなカナタさんに悔しそうなアイリスさん。
どうやら値切り交渉はカナタさんの勝利で幕を閉じたようだ。
泣きそうな顔をして一旦奥に戻っていったアイリスさんを見てカナタさんは堪えきれないとばかりに小さく笑う。
「あーオモシロ。やっぱアイツ負かすと気分いいわー」
「300リオン、ってそんなに凄い金額なんか?」
「はぁ?そりゃあ庶民だったら2、3ヵ月は楽に生きていける金額だな」
「そんなに!?」
思っていた以上の高額に驚く。
そんな金額をかけて言い争っていたんだ…日本の感覚的に1万やそこらの話かと思ってたけど……
思わず考えるのを止めてしまうぐらいの高額な金額を簡単にやり取りできるカナタさんは、俺が思っている以上にもしかしたら凄い人なのかもしれない。
.
[ 50/146 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]