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「なーんかミステリアスな香りのする子ね。まぁそれよりも報酬の話に行きましょか」
面白そうに目を輝かせていたが、話はあっさりと仕事の話へと戻っていった。
「えーっと、金額は1,145リオンだったわね」
「ちょっと待て。それに500乗せろ」
「冗談じゃないわよ!何で500リオンも追加しなきゃいけないのよ」
「Bランクのくせに裏があり過ぎ。アレ、俺じゃなきゃ死んでたぞ」
「何でよ〜。神隠しの森でスライム討伐。別におかしくないじゃない」
「ほぉ…ワイスプーレがいても何もおかしくないのか?」
ワイスプーレ…?何かの生き物の名前なのだろうか…
もう分らないことが多すぎて聞く気にもなれない。後でまとめてカナタさんに聞くしかないだろう。
「あらそうなの?運がなかったわね〜」
「白々しい演技はいらねェんだよ!どうせお前らはエリシアの森にヤツが出没するという情報を握ってたんだろ?いや、そういう依頼があったのかもしれねーけど」
「やだわぁカナタ。そんなこと私たちが分かってるわけないじゃない」
「じゃあ500リオン上げるよな?」
「それとこれは話は別よ」
すごい、まるで大阪の市場を見ているかのような掛け合いに俺は少し感動する。
というかカナタさん相手に一歩も引かないアイリスさんがとにかく凄い。
500リオンという通貨の単位が俺には分からないから何とも言えないが。
置いてけぼりをくらった俺を放置して、2人の値段交渉はどんどんヒートアップしていく。
気づけばギルドにいる人殆どがこちらを見ていたが、さっきまでの突き刺さるような視線ではなくて…どこか呆れたようなものだ。
だからこの交渉は毎度のことなのだろうと俺は悟り、大人しく終わるまで見守ることにした。
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