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「あとでこれは改めて確認することにするわ。スライムたちの中には結構貴重な粘液出す奴もいるからね〜」
「どーぞ御勝手に」
「カナタのこの紙に取り込む方法、結構私たちも楽できるから嬉しいのよ〜?何より持ち運びに便利!」
「1回こっきりの"吸収"ならこの程度で十分だろ」
「それができない奴もいるから大変なんじゃない!大抵の人は普段使いのモノに入れてくるんだもん、大変なのよ?」
「俺の"ロゴロイド"にんなスライム入れるわけねーし」
俺にはよく分らない会話が真横で飛び交っている。
どうやらあのグロい写真にも何かしらの魔術が絡んでいるらしい。
「まぁ依頼は終了したようだから、ちゃんと報酬を渡さないとね」
そう言ってアイリスさんは手のひらをカナタさんの前に差し出す。
何をする気だろうかと見ていると、カナタさんがその手に自分のを重ねた。
すると2人の重なった手に赤い紋章が浮かび上がった。
よくよく見ると俺とカナタさんの心臓の上にあるあの紋章と少しだけ似ているようだ。
「"ここに契約は果たされたことを宣言する"」
「"相違ない"」
カナタさんが言い終わった時、手に浮かび上がっていた赤い紋様は溶けるようにして跡形もなく消えていった。
「……今のは"宣言"の終告の言葉だ。これで"宣言"はその効力を失ったんだ」
よほど俺は不思議そうにしてたのか、カナタさんが仕方がないとばかりに説明してくれた。
「何々?まさか"宣言"も知らないの?この子」
「何も知らない世間知らずだって言っただろ」
アイリスさんの呆れたような表情に、仕方がないとはいえ少し恥ずかしくなった。
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