silver wolf | ナノ




18



「ここで死人を出されちゃ私はあなたを追放しなくちゃいけなくなるの、分かってるでしょう?」


まだ若い…20代後半のように見える容姿の女性は穏やかともいえる口調でカナタさんに話しかけた。
黄土色っぽい…砂のような色の髪に、水色の瞳の可愛い人で、こんな状況じゃなかったら絶対に話しかけていたと思う。


「ほら、"白椿"をしまって。今日は報酬を受け取りに来たのかしら?今暴れるとその報酬は全部修理代に飛んでくことになるわよ」

「…それは困るからやーめた」


女性に言われ、カナタさんは大人しく刀をしまう。
途端カナタさんに刀を突き付けられていた男の人は力が抜けて尻餅をついていたが、もうカナタさんは見向きもしない。


「言うこと聞いてくれてありがと。――さて、アナタたちはいつまでここにいるつもりなのかしら?」


ニッコリと笑った後、瞬時にその笑みを消してあの男たちを見る。


「ここで騒ぎを起こしてこのままいれると思ってるの?もうあなたたちはここにはいれなくなったのよ。早く出て行ってちょうだい」

「な…っ!アイリスちゃんは銀の野郎の肩を持つってのか!?」

「役に立つなら例え魔族でも使うわよ。少なくともDランクしかやれないあなた方よりもカナタくんはずっと優秀。…どっちを取るかなんて、子供でも分かるわよね?」


アイリスと呼ばれた女性に事実上の追放を言い渡されると、男たちは諦めたのかここから出て行った。
男たちが完全に出て行ったのを見送った後、また柔らかな笑みを浮かべてカナタさんを見た。


「ごめんね?」

「いいよ、別に慣れてるし。それよりも早く報酬を渡せ」

「はいはい。ちゃんと渡すわよ……ってあら?」


そこで俺の存在に気づいたのか、アイリスさんがこちらを覗きこんできた

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