11
「つーわけで俺はギルド行ってくるから」
「僕も…」
「お留守番な」
いつもと同じ言葉を言った途端にウルは不機嫌そうな顔になる。
「また僕だけ置いてけぼりですか」
「お、ユウは連れてくってよく分かったな」
「そんなの長年付き合いがあれば分かります」
ふてくされたようにそっぽを向くウルに小さく笑みをこぼす。
「カナタさんが何を気にしているかなんて分かってるつもりですけど、僕は全然気にしてませんからね」
「…」
「銀髪だろうと何だろうと僕はカナタさんのこと尊敬してますし大好きですから」
「…アリガト」
やはりウルといるのは気分が落ち着く。
ユウみたいに銀への蔑視がなかったからではなく、銀であることよりも俺自身を見てくれているウル。
一夜限りの関係が多い中でウルは長く続いている数少ない中の1人だ。
「アンタもカナタさんに迷惑かけたら許さないからね、ユウ」
「な…!俺がそんなことするわけねーだろ!」
ユウを軽くおちょくるとそれで気がすんだのかウルは踵をかえす。
「それじゃ僕はここで失礼します。何か少しだけ厄介事の匂いがしますけど…深くは聞かないことにしますね。またいつでも電話してきてくださいね、カナタさん」
そんな聡明なところも、俺はけっこう気にいってるよ。
。
[ 38/146 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]