04
「…銀は入れておいてやった」
鏡がないから確認することはできないが、きっとカナタさんの灰色の目に近い銀色になったのだろう。
早く見たくて仕方がない。
「いいか?これは"色変"っつー初級補助魔術だ。文字通りのものと思ってくれて構わない」
「あぁ、ありがとカナタさん!」
「別に…」
顔をそむけたカナタさんだったけど、残念ながら少し赤くなっている耳は隠せていない。
照れなくてもいいのにな!
「ったく…じゃあ次はお前の服か」
もっともその珍しい顔はすぐに消えてしまったが。
いつも通りのカナタさんは俺の学ランを上から下まで見る。
確かに元いた世界じゃ全くおかしくない学ランでも、カナタさんの格好を見ればおかしいことがよく分かる。
あっちでは見たことないデザインの服はけっこうかっこいい。
「んー…市街に行っても注目されるだけだしな…やっぱ買ってきてもらうか」
何やらカナタさんの中で結論が出たのか、懐からあるモノを取り出した。
「あ、それ!!」
「何だよ、ただのケータイだろ?まさかこういうのもお前んとこはなかったんか?」
「いや、これ俺の世界でもあったからビックリしただけ」
そう、カナタさんが持ってるのはあっちの世界でよく見れる、あの携帯電話だった。
さすがにその機種は見たことないものだったが、白色で折りたたみ式のそれは確かにケータイだ。
ちなみに俺の携帯含む荷物は一緒に穴ん中落ちたというのに手元には何故かなかった。
……元の世界に戻ったとき、当然俺の荷物も戻ってくる、よな?
。
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