silver wolf | ナノ




02


ここは路地裏っぽく、ざわめきからは一歩離れた場所にいるようで俺達以外に人影は見えない。


「さて…まずはお前の目の色をどうにかしないといかんよな…」

「なんでだよ。別におかしくもなんともないだろ?」


日本人には別におかしくもなんともない黒目なんだし。俺からすればカナタさんのこの灰色の目のほうがおかしいと思う。
…まぁカナタさん以外の人間にまだ会ってないから何とも言えないけどさ。


「あっちではそうかもしれないけど、こっちじゃかなりおかしいの。下手すりゃお前殺されるからな」

「えぇっ!!」


たかが目の色で殺されるだなんてたまったもんじゃない!
だけど目の色なんて変えようもないんじゃないのか?ここにカラコンなんてものあるとはあまり思えないし、第一目の中に異物を入れるのはあまり歓迎したくない。
自慢じゃないけど俺の視力は両方ともかなりいい方だ。


「んー…取りあえず"色変(しきへん)"を俺でやることになるんか」


そう言うとまたぐっとカナタさんの顔が近くなった。
整った顔が目の前いっぱいに広がり、少し前にされたセクハラ紛いのことを思い出し、一気に顔が熱くなる。
そりゃ俺のいた世界でも男同士の恋愛も無きにあらずではあった(下の妹がハマっていた)
でもあくまで少数派というか…あんな堂々とやれることではない。
男でも女みたいに妊娠できるなんて……魔術というのは奥が深い。深すぎる。
………カナタさんは、攻めるほうなのだろうか?この顔で柚樹みたいに身長が低かったら下だろうけど、俺ぐらいの身長はあるし……
って何考えてんだ俺は!妹の影響受けすぎだから!!


「…何百面相してんだ。お前」


呆れたように呟かれた後、カナタさんは俺の目の上に手をかざした。
視界は塞がれ、真っ暗になったまま取りあえず成り行きを見守ることにする。
まだ会って短い時間しかたってないけど、この人は信用できると…そう思ってるから、だと思う。


「そーだな…赤っぽい茶髪だったら……お前は何色がいいんだ?ユウ」

「え、そんな急に言われても……あ、カナタさんの髪の色とかは?」


パッと思いついた色を提案すると、ピクリとカナタさんの手が震えた。



[ 29/146 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -