silver wolf | ナノ




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ありえねぇとは思いつつ、念のためにと聞いてみたら顔を真っ赤にして頷いてきた。
この反応を見るに、俄かには信じたがいがユウのいた場所は本当に男同士のセックスはないようだ。
…ユウ自身もあんま経験豊富そうにも見えないけど。
顔立ちは整ってモテるだろうと思うが、ここぞという押しが弱そうな気がする。


「…オニーサンが優しく手ほどきしてあげてもいいんだけど…」


エロい雰囲気を意図的に纏わせ、やらしい手つきで黒いズボンの上をツツツ、となぞってやれば分かりやすく体をビクつかせる。
その反応にクスリと笑い、俺より若干身長の高いコイツの耳元に背伸びして吐息をわざとこぼす。
今頃顔を真っ赤にしてるだろうユウに笑いそうになるも我慢する。
自分の顔がある程度整っているのは自覚済みだから、相手がこうして動揺する姿は見ていると本当に面白い。


「…自分よりもデカい男を抱く趣味はないんだよね、オ・レ」


自分が出せる最高にエロい声で囁いてやれば、我に返ったのか慌てて俺をつきとばしてきた。
赤い顔で口をパクパクさせている姿は本当に面白く、つくづくいい拾い物をしたものだと自分を褒めたくなる。
この世界でこの年まで経験ナシなんて神のような奴がいるなんてある意味尊敬したくなるぐらいの希少な生き物だ。
俺より背が小さかったら優しく手ほどきを施してやったんだが…さすがに自分よりデカい奴を抱く趣味はない。
というかたぶん物理的に無理だろうな、俺。


「お、俺はっ」

「まぁどーでもいいし、特級補助の分野になってくるけど男を孕ませることもできる世界なんだから、気をつけて損はないと思うぞ」


サーっとこれまた面白いぐらい一気に顔を青ざめたユウにニヤリと笑う。
意地の悪いことを言っているとは思ったが事実だし、ユウみたいに見目はいいけど弱い奴らなんかは特に標的にされやすいのだから気をつけるにこしたことはない。
コイツがユズキに会うその時までコイツには取りあえず五体満足でいてくれないと"契約"を結んだ俺にも迷惑がかかる。


「よし、いつまでもこんな辛気くさい場所にいたらカビがはえる。さっさと帰るぞ」

「は?」


いつまでもエリシアの森にいたら精神的にイライラしてきてあまり宜しくない。
訳が分からないといった顔をしているユウの腕を掴み、俺に近づかせる。


「絶対に吐くなよ?――"術式起動、ポイントは北、名はリスタント――発動"」


気持ち悪さには定評のある"瞬間移動"を行い、俺はユウを連れて都市リスタントへと戻っていったのだった。



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