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「……分かった。俺はアンタに魂を売る」
長い沈黙の末、ユウタが絞り出した答えに俺はニヤリと笑う。
きっと今の俺かなりの悪役面してるんじゃないかなー?
「っていうか敬語消えたな」
「あ」
「いや、別にここの奴らは気にしないけどな。ただ年上にタメ口きくとそれは自分はお前と能力的には一緒なんだ、っていう現れでもあるから相手は選べよ」
「…敬語にしといたほうがいいですね、俺」
「いつもだったら思いっきりぶっ飛ばすけどお前は気に入ったから特別に許してやらんこともない」
「じゃあそうしてくれ」
「変わり身早いな、お前」
シリアス味が完全に消えてしまった気がするが特に気にしない。
会話の流れはその時その時で変わるのが普通なのだから。
「さて、じゃあ早速悪魔に魂刈られちゃいましょうかね」
いきなり本題に戻すと、とたんユウタの顔が真剣味を帯びる。
それを横目に見て、俺は片目しかない視界をブラックアウトさせた…つまり、目を閉じた。
「"使徒の制約、等価交換の法則に則りここに血の契約書を発行する"」
詠唱を始めると俺とユウタの周りに巨大な魔方陣が展開される。
そこに込められている魔力の量は決して少なくはない。
「"契約書は絶対で不可侵で神聖なもので、破棄することは双方の合意あってのこと。一方的に破ればそれ相応の罰が下される"」
手をゆっくりとユウタの心臓のあたりへ触れる。
緊張しているのかドクドクとしているそれにクスリと笑うと、また詠唱を続ける。
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