18
「……俺の名前は、卯月勇太です」
そして今、俺は改めて自己紹介をしている。
「一応勇太が俺の名前です。18歳で、高校…じゃなくて学校?に通ってました」
何気なく歩いていると突然眩しい光を感じた後、穴に落ちて真っ暗闇の中を漂った、というところまで話したとき、この人の表情が変わった。
「暗闇?」
「はい、何か変な老人の声も聞こえて…」
「何て言ってた?」
「え?」
「ソイツは何て言ってたんだ?」
その真剣な表情に、俺は改めて思い出す。
「よくは覚えてないけど…闇がどうとか、エリゴールがどうとか…」
「エリゴール!?」
今まであまり興味なさそうに見ていたのに、一気にその目は驚きで彩られた。
「なる程…あのクソジジィまだ死んでねェんか…となると闇の術式にも納得がいく、か…」
「あの…、」
一人で納得した様子に俺は名前を呼ぼうとしてまだ教えられてないことに気づき、言葉につまる。
それに気づいたのだろう、彼は俺に目をむけた。
「カナタ」
「え?」
「俺の名前。カナタっていうの。ちなみに23歳」
。
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