15
この声は絶対に何かヤバイ。
しゃがれた声が聞こえれば聞こえるほどだんだん眠くなってくる。
柚樹がどこにいるのか…もうそれすら考えるのは難しくなっていた。
「や、めろ…」
あぁ眠い。
だけどここで眠ることはイコール雪山で寝るのと同義だと本能で感じ取り、何とか睡魔に負けぬよう耐える。
――"我の呼びかけに答えよ。闇に迎えられし人の子の名を"もうここで死んでもいいから意地でもその問いかけに答えてやるかと口を固く閉じ、そのまま限界まできた睡魔に急速に意識を奪われた。
――そして目が覚めたら森の中だった。
一瞬死んだのかと思ったが、つねった頬がかなり痛かったからまだ生きてるし夢でもないことが分かり落胆する。
もしここで目覚めたらすっごいリアルな夢だったんだ、で済んでたのに…
「、って柚樹は!?」
一緒に落ちたはずの柚樹の姿を探すも居た痕跡すらなく、嫌でも離れ離れになったことを認めなくてはならなかった。
明らかにここは日本じゃない。こんなにも不気味で薄暗い森はたぶん世界のどこを探してもない。
あの変なエリゴールとかいったクソジジィによって、どこか変な場所に飛ばされてしまったらしい。
「異世界でした、なんてオチやめてくれよ…」
弱弱しく呟いてみたけど、たぶん99%の確率でここは異世界だ。
。
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