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――ミツケタ…「――、」
「どうしたの?」
「いや…今変な声聞こえなかったか?」
「変な声…?別に僕は聞こえなかったけど」
柚樹は首を傾げているが、確かに俺は聞こえた。
薄気味悪い、フィルターがかかったかのような聞き取りにくい声だったが、確かに"見つけた"、と。
聞こえた瞬間背筋が凍り、思わず後ろを振り返るが誰もいない。
それでも諦めきれず辺りをキョロキョロと見回していると、何も聞こえなかった柚樹が首を傾げる。
「どうしたの?勇太…」
――ヨウヤク、ミツケタゾ…今度は柚樹も聞こえたらしく、俺と目が合った。
「ね、ねぇ今の声…っ」
「聞こえただろ?」
お化けとかが大の苦手な柚樹はもう泣きそうになっている。
俺も柚樹も霊感なんてこれっぽっちもない
誰かのタチの悪いイタズラか…またはありえないが、"本物"か……
注意深く辺りを見回していると、急に足元が光りだした。
「うっ…」
「な、なに!?何なの!?」
あまりの眩しさに目を開けていられない。
決して人通りが少ないわけじゃないはずなのに、俺達がこんなに騒いでいても誰も来る気配がなかった。
。
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