31
「な、なんだ…!?」
何かが割れる鋭い音に、一護は音の発生源であろう"出入り口"を見た
「こ〜んばんわ、黒崎さん!」
そこに立っていたのは、いるはずのない人物で一護は目を見開く
だが驚いたのは彼だけではない
「よかった、クローム!無事だったんだね…!」
「ボ、ボス……?」
安堵の表情を浮かべてクロームに駆け寄ってくるのは、先ほどどこかへ"とばされた"らしいツナ
ニヤリと、真意の見えない笑みを浮かべて一護を見ているのは、浦原喜助と雨
いるはずのない人物を前に、クロームと一護はただ驚くことしかできなかった
「いやぁそれにしても綺麗に張られた結界でしたよ。黒崎サンの霊圧が突然遮断されたのを感じたからいいものの、それがなかったらまず気づかなかったでしょうね〜」
浦原は真意の見えない瞳で眠っている亜希を見る
大きな外傷は見当たらないが、顔色が悪い
「、大丈夫…なの?」
「心配いらないっスよ。ただ眠っているだけみたいなんで」
軽く触診をし、骨が折れた様子等もないことを確認した浦原はクロームに笑みを浮かべる
見知らぬ、明らかに怪しいと分かる男に警戒するクロームだったが、その言葉には僅かに安堵の表情を見せた
「、よかった…っ」
取りあえず無事な様子の亜希を見て緊張の糸が切れたのか、その場に力なく座り込むクローム
殺す気で刀を向けられ、怖くなかったわけがない
妹を思う気持ちがその恐怖心を一時的に誤魔化していただけだ
「大丈夫?クローム…」
「だ、大丈夫…」
心配そうに見つめてくるツナに薄く笑みを浮かべ、視線を亜希へと戻す
必死の思いで助けを求めてくれた大事な妹を助けることができた…ただそれだけでもう十分だ
―――"本当の恐怖"……妹を永遠に失うところだったことを思えば、これくらい本当に何とも思わない
「えーっと、色々皆サン積もる話もあるかと思いますが、場所を変えませんか?」
この子をちゃんとした場所で寝かせてあげたいですし、と言う浦原の提案に、2人は躊躇いつつもしっかりと頷いた
――色々聞きたいこと、確認したいことがお互いあるのだから
.
[ 96/122 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]