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「亜希、が……?」
茫然とした表情を浮かべた少女を見ていることができず、一護は視線を逸らしてしまった
――嘘だとは、口が裂けてもいえなかった
どれだけ言い繕ったところで、原因は間違いなく自分たちにあるのだから――ミヨがつけ込める隙を作ったのは自分たちだから
「……っ悪ィ、」
泣きだす一歩手前の少女に、ただ謝罪の言葉を言うしかできなかった
「ふふふっ謝ることしかできないよねぇ?でも私は別にそんなの要らないし、聞きたくない。だって今さら何やってももう遅いんだから!ここにいる全員、お姉ちゃんに殺されて終わるんだから!」
ただ一人、ミヨだけは楽しくて楽しくて仕方がないといった表情で笑っている
「さて…最期の挨拶は、もういいの?」
「…っ」
「もう遅いよ死神のお兄ちゃん。もっと早くお姉ちゃんを殺す決心がついてたらそこの2人は助かったかもしれないのに……その甘さのせいで、皆死んじゃうね」
僅かに動きを見せた一護を見て、ミヨは嘲笑う
彼女を切り捨てることのできなかった、その甘さを悔やんで死んでいけばいい
「ほら、お姉ちゃん」
促すように呼べば、彼女はゆっくりとクロームがいる場所へと歩いていく
「まずはアナタからね?」
――念のため、不安要素は先に取り払っておいても損はない
アレを潰せば、もう何も怖いものなどなくなるのだから
「く、クローム!!」
「邪魔しないで!!」
声を張り上げた少年を睨みつければ、次の瞬間には少年の姿は跡形もなく消え去っていた
「ボ、ス……」
まるで"存在することを否定された"かのように、この空間から"弾き飛ばされた"
「ふふ…この子はこの空間の"支配者"なんだよ?"弾き飛ばされた"あの子……どこに飛ばされたんだろうね?」
くすり、と笑ったのと同時に、クロームの首筋に刃が突き付けられた
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