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01 xxx




『―――浦原さん、今までお世話になりました』


「イエイエ、お気になさらず。気を付けてくださいね、佐藤サン」


店先までわざわざ見送りにきてくれた浦原に、亜希はもう一度深々と頭を下げた

本当に、心の底から感謝していた

"あの子"に壊されかけた時助けてくれたし、明らかに厄介事な私を数日かくまってくれた

姉や黒崎くんとちゃんと会話もできて…感謝、している

―――例え、何か隠しているとしても


「……亜希、」


後ろから呼ばれた声に込められた意図は容易に理解できる


『…では、失礼します』


「えぇ、お気をつけて」


胡散くさ…否、ニコヤカな笑みを浮かべて手を振る浦原に背を向け、少し離れた場所で待っててくれた人物へと駆け寄る


『お待たせ、お姉ちゃん』


先日運命的な再会を果たした姉は、その言葉に緩く首を振る


「大丈夫…行きましょう」


『…!うん!』


当たり前のように差し出された手に、亜希は嬉しげに笑みを浮かべ自分の手をそっと重ねた

一人で帰れると主張した亜希の言葉は軽く一蹴されたが、迷惑はかけれないと粘った結果家の近くまで、という折衷案に落ち着いたのは少し前


―――強くなることは、孤独になることではありませんよ


傍観者の立場だと思っていた浦原からの思わぬ援護射撃に返す言葉が見つからなかった、というのもあるが

人に依存することなく一人で何でもできることが"強さ"だと思っていたが、それだけが全てはないのだと暗に言われ、ますます"強さ"が分からなくなる


「……本当に、近くまででいいの…?やっぱり私も一緒に、」


『大丈夫だよ、私。こればっかりは、お姉ちゃんにも邪魔させないからね』


心配してくれる姉の言葉は嬉しいが、こればかりは亜希も譲ることはできない

徒歩数十分の距離は、あっという間に過ぎ去っていく


『―――ここまでで大丈夫だよ、お姉ちゃん』


家が目視で確認できる場所までたどり着いた亜希は立ち止まり、姉の手をそっと掴んだ




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