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「…落ち着いた?」
『……うん、ごめんね…もう大丈夫だから…』
その言葉通り、冷静さを取り戻したと分かる声で返事をした亜希だったが、姉の手を握りしめる手はまだ僅かに震えていた
「……わりィ、大きい声出しちまって」
『うぅん…私こそ取り乱しちゃって、ごめんなさい…』
お互い落ち着いて会話が出来る状態までクールダウンしている
それを確認したツナは、恐る恐る口火を切った
「えっと……そうだ、まだちゃんと自己紹介してなかったよね、俺…!」
こうやって面と向かって会話をするのは、実はこれが初めてであることに気付く
「改めて……沢田綱吉です。亜希ちゃんと同い歳で並盛高校に通ってます。好きに呼んでくれていいからね!クロームとは少し前に友達になったんだ」
『くろーむ?』
聞き慣れない単語に首を傾げる
「え?あ、あぁ!クロ、じゃない凪、さんのニックネーム、みたいな…?」
「……深い意味はないわ。私が今いる場所では、そう呼ばれているだけ…」
『そう、なんだ…?』
イマイチ納得しきれていない亜希に、全部説明するわけにもいかないツナは笑って誤魔化すしかない
一体誰が信じるだろうか?
ほぼ生き別れ状態だった双子の姉は、現在はイタリアンマフィアの一員だなんて
『え、っと……姉が、お世話になってます』
「あ、いえいえこちらこそ…!クロームには色々と力を貸してもらってて…」
「……それは全部骸様の…」
『?』
「……何でもない…」
何も知らない妹にあまり聞かれていい話ではなく、クロームは口をつむぐ
骸様――六道骸との関係性は、きっと亜希を混乱させるだけだろう
時期が来れば、いずれ話す時がくる……まだ、時間はたくさんあるのだから
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