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「―――、亜希っ!!」
『……お、ねえ…ちゃん……?』
自分を呼ぶその声は、とても懐かしいもので、無意識に名前を口にする
ゆっくりと目を開けると、思った通りそこには久しぶりに会う自分の双子の姉の姿があった
なんでこんなところに姉がいるのだろう、とかなんでそんな必死な顔をしているのか、なんて色々疑問はあったが…
『……おはよう…?』
状況が分からないものの、取りあえず口にした言葉に姉は瞳をうるわせる
まだ半分夢の中にいる亜希は何故泣きそうになるのだろう?と首を傾げた時……急に、抱きしめられた
「亜希…!」
泣きそうな…いや、もしかしたら泣いているのかもしれない
震える声で名前を呼ばれ、強く抱きしめられながら――フラッシュバックのように、記憶が甦った
『お、ねえちゃ……』
人を傷つけた
全部、私が弱かったせいで皆が傷ついた
私は、この手で――この姉さえも、……!
『、ごめ…っごめ、なさ…っ…!!』
それは恐怖だった
もう少しで、この大事な片割れを自分の手によって失うところだった
そう考えると怖くなり、反射的に姉から離れようとする
だけどそんなこと許さないとばかりに、ますます抱きしめる腕の力を強くするクローム
『や…やだぁっ!私…、』
「大丈夫…大丈夫だから…!何も怖いことなんてない…!」
『だって、私が…みんなを!お姉ちゃんだって……っ』
頬を流れる涙をぬぐうこともせず、ただ叫ぶ
私が全部悪いのだ
私が弱くて、ダメだと分かってたのにあの時あの子の手をとってしまったから
だから、皆が傷ついた―――私が、傷つけた
『私のせいで、みんながっ!!』
いつのまにか、姉の服を強く握りしめていた
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