97 崩れゆくモノ
それは、唐突に
築き上げるのには時間がかかるのに、崩れる時は一瞬で
得たものは全て奪い取られる
――私は、それを"運命"だと片付けて諦める気はない
崩れゆくモノ久しぶりの外出は、得たものが多くて有意義なものだった
ロビンと友情は一層深まったと思うし……もう一人、"友人"ができた
名前は、ハグワール・D・サウロ
自分と同じ"Dの意志"を継ぐ、優しくて変な笑い方をする巨人だ
"デレシシシ"だなんて笑い方、初めて聞いた時は本当に驚いた
追われていると言っていたのが気になるが…誰にも言わないと約束したから博士にすら巨人の漂流者がいることは言っていない
あの日、研究室に戻ったアリスを待っていたのは心配そうな表情の研究者たちと怒っているクローバー博士だった
散々と小言を言われたが、それは全て自分を心配してくれているからだと分かっていたから素直に謝罪の言葉がでてくる
あれから3日間は大人しく奥の部屋で過ごしていた
もうそろそろこの居心地のいい島から出なくては、と思いながらもロビンや博士たちの顔がちらつき、中々言いだすことができずにいた3日間でもあった
ロビンはずっとサウロのところにいるのか、最近は顔を見ていない
それを少し寂しいと感じていたが―――今ほどロビンがいなくて安心したことはない
「久しぶりね、みんな」
驚く考古学者たちの前に現れた一人の女性
オルビアと皆に呼ばれているその女性は、目元がとてもロビンに似ている女性で
「帰って早々…凶報だけど、今言ったことは事実よ」
彼女が皆に言った言葉は、確かに凶報だった
『……』
――政府の人間が、オハラの学者たちを殺すために続々と集まってきている、だなんて冗談でも笑えない
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