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『ロビン…ロビン、待って!!』
走りに走って、ようやくロビンの腕を掴めた時には海岸に来ていた
「離してよ…!!」
『いやだ!!』
しばし睨みあう2人
だがそれはロビンが視線を逸らしたことで終わりを告げた
「……」
『……、ごめんねロビン…』
ずっと自分だけ蚊帳の外のようにしてしまい、相当寂しかったことだろう
彼女を守る為にとはいえ、彼女を守る為のそれが逆に傷つけてしまっては意味がない
『でも誤解だけはしないで…博士も、みんな…みんな、ロビンを守りたかっただけなの。もちろん、私も』
「……」
『私は、ロビンを本当に友達…うぅん、親友だって思ってる。私が初めてできた、大切な友達だもんロビンは』
一ヶ所に留まることができなかった、ただただ島から島へ移動する日々の繰り返しでは友人なんてできるわけがなかった
それを嫌だとは思ったことはなかった
その不満を口にすれば母が悲しむのは分かっていた――母は、自分以上に色々なものを犠牲にしていたから、言えるわけがなかった
ずっと心の中で憧れていた、島中を駆けまわったりすることはなかったが、ロビンと一緒に本を読んでいるだけで不思議と満足していたのだ
『ロビンは……私のこと嫌いになっちゃった…?』
初めてできた友達に嫌われてしまったらどうすればいいのだろうか
不安を隠せず、ロビンの腕をつかむ手に力が込められる
「……何で、私に何も言ってくれなかったの…?」
小さな声で言われた言葉
「一生懸命勉強して、やっと博士たちと同じ考古学者になって…やっと、博士やアリスと一緒に夜の研究の仲間に入れてもらえると思ったのに…」
『ロビン…』
「私だってアリスが初めてできた友達だよ…色々隠し事してるのは知ってたけど…それでもやっぱり…すごく嫌だもん…」
『……ごめん、ごめんねロビン』
2人して涙をこぼしながら、「バカ」「ごめん」「嫌い」「ごめん」、と暫くの間繰り返していた
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