紅の魔女 | ナノ




93



――半年後


「おおっ!来たぞ、ロビンじゃ。本を返しに来た模様!全員配置に!!」


『え、ちょっと待って待って…!』


暗い室内の中、ごそごそと慌ただしく動き回る音が聞こえてくる

全員が事前に打ち合わせした所定位置につき、目的の人物がこの図書室に入ってくるのを息をひそめて待ちわびる

ガチャ、とドアノブが回る音がして、それとほぼ同時にロビンの姿が見えた


「こんにちは。クローバー博士っ!借りてきた本を……」


真っ暗な室内にロビンの声が途切れたその瞬間――クラッカーが鳴らす音と同時にパッと部屋が明るくなった


「「「おめでとうロビ――――ン!!」」」


さすが天才の血筋、等々いきなり考古学者たちに褒められ、何の事か分かららないロビンは目を白黒させている

アリスはそんなロビンの手を強く握りしめ、ぶんぶんと上下に振りまわした


『本当におめでとうロビン!すごいよっ!!』


「??」


アリスがオハラに辿りついてもう1年

あれだけあった包帯は完全にとれており、最近まで片目を覆っていた包帯はクローバー博士に譲ってもらった眼帯に変わっていた

随分と表情も増え、今だって溢れんばかりの笑顔を浮かべているアリス

滅多にないその満面の笑みを見てもロビンは訳がわからなかったが――クローバー博士の言葉でようやくこの事態の理由を知る


「この間の博士号試験!!見事満点じゃ!!今日からお前!考古学者と名乗ってよいぞ!!」


言葉がじわじわとしみ込んでいき、ロビンの顔に喜びの表情が浮かび上がる

ずっと夢だった、考古学者の証が手渡されそれをまじまじと見つめている


「よいかロビン!!考古学者が何たるかをよく知っておけ!!"知識"とは!即ち"過去"である!!世界最大最古の"知識"を誇る図書館、そして優秀な考古学者達!我々がこの書物を使う事で解き明かせん歴史の謎などありはしないのだ!!」


熱く語ったクローバー博士は、そこでロビンの頭を軽く撫でる


「よいな!これ程の土地で考古学を学べる幸せを誇りに思い、この先もあらゆる文化の研究で世界に対し、貢献することを期待している」


「博士!私は…"空白の歴史"の謎を、解き明かしたいの!!」


無邪気にその夢を語ったロビンだったが、クローバー博士はガラリと表情を一変させた


「!!!な…い、いかん!それだけは禁止だ!今まで通り禁止だ!!」


「えっ」


納得いかない、とロビンはさらに言葉を重ねる

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