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「――CP9!!いいかお前ら!抹殺許可は出すがこの"司法の塔"で迎え撃て!!そもそもあいつらがここへ来れる保証もねェんだ!!」
命令を下すスパンダムの頭の中には己の保身しかない
「ワーッハッハッハッハッハッ!!このタコ海賊団!お前らが粋がった所で結局何も変わらねェと思い知れ!!この殺し屋集団"CP9"の強さ然り!人の力じゃ開かねェ"正義の門"の重み然り!何より今の俺にはこの"ゴールデン電伝虫"を使い、"バスターコール"をかける権限がある!!」
高笑いをする男の掌には稀少種である"ゴールデン電伝虫"がのっている
"バスターコール"という言葉に過敏に反応を示したのは、ロビンとアリスだ
「そうさ。ちょうど20年前・…貴様の故郷を消し去った力だ、ニコ・ロビン!!"オハラ"という文字も、そして"カディア"という文字も…翌年の地図から消えてたっけなァ…」
『―――っ』
あの時の惨状がフラッシュバックする
燃え盛る炎、頬を撫でる熱風
中将3人に立ち向かう一人の女性
―――生きて……っ『―――ぁ、さん…』
「やめて!!それだけはっ!!」
ロビンの叫び声で、ようやく我にかえる
頭をかるく振り、あの悪夢を頭の中から追い出す
今は過去に付き合っている場合ではない…もう、あのような惨状を引き起こさないためにしなければならないのだ
「ウ〜いい反応だぜ、ゾクゾクする!何だァ!?そりゃこの"バスターコール"発動スイッチを押せって意味か?えぇ!?おい…!」
「――それを押せば何が起こるかわかってるの!!?」
悪夢が蘇るのはロビンも同じだろう
"カディア"に負けず劣らず……"オハラ"もまた悲惨だった
「わかるとも…!海賊達がこの島から出られる確率がゼロになるんだ!このゴールデン電伝虫のボタン一つでな…!!何か思いだす事でもあるか?ワハハハ!!」
「そんな簡単な事じゃ済まないわ!!」
スパンダムがわざと電伝虫のボタンを押すそぶりを見せたことで、アリスは思わず声を荒げた
『「やめなさいっ!!」』
それは偶然にもロビンの声と重なる
命令口調で言われたのが気に食わないのかスパンダムの顔が歪むが、そんなこと関係ない
『地図の上から…"オハラ"と"カディア"の"文字"が消えたって……言ったわね…』
「地図の上から人間が確認できる?あなた達が世界をそんな目で見てるから、あんな非道な事ができるのよ……!!」
バスターコール……それは、目的さえ失う無情の力
アリスの脳裏に、あの頃の映像が浮かび上がった
それは20年前――"カディア"から命からがら逃げて辿りついた、考古学者たちの島"オハラ"での出来事だった
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