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「なァ長官!!さっさと行ってアレ消してくりゃあ終わる話じゃねェのかい!?」
CP9の一人、ジャブラの言葉にあくまで余裕な表情でスパンダムは待ったをかける
「まァ待て…遠路遥々救出の為追ってきて、最後の最後で仲間に助けを断られる船長。お前こんな面白ェ光景見た事あるか!?」
「ロビ―――ン!!死ぬなんて…何言ってんだァ!?お前!!」
死にたいと言ったロビンに、しかしルフィは動じた様子は見えない
それがどうした、と言った表情だ
「あのなァ!ロビンっ!俺達、もうここまで来ちまったから!!」
鼻をほじりながら言うルフィの後ろから、ぞくぞくと麦わらの一味が集まってくる
全員大きな怪我もなく元気そうで…信じていたとはいえアリスは少しだけ安堵のため息をつく
「とにかく助けるからよ!そんでなァ、それでも…まだお前死にたかったら、そしたらその時しね!!」
麦わらの一味が、全員裁判所の屋上に集まる
「頼むからよ!ロビン…!!死ぬとか何とか…何言っても構わねェからよ!!そういう事はお前…俺達の傍で言え!!!」
その言葉に、仲間たちからの言葉に、ロビンの瞳に涙が滲む
「あとは俺達に任せろ!!」
裁判所と司法の塔を行き来する唯一の方法は、跳ね橋のみ
まだその跳ね橋が下ろされていないところを見ると…今他の人達が奮闘しているのだろうか
「高潮を超えて遥々…考えたらすごいわね」
「運は良さそうだな」
「今度は殺しの許可がある」
「手加減ナシだと楽じゃのう」
余裕そのもののCP9に対し、その長官であるスパンダムは酷く慌てている
ロビンも涙を滲ませたものの、もう今は険しい表情に戻っていた
『……ッ』
アリスもまた、険しい表情をしていた
笑みを浮かべる程の、余裕がもうなかった
ジクジクと一層の熱を帯び始めた海楼石――
わずかに顔をしかめたのを、ただ一人ルッチだけは横目で見ていた
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