84 なかま
愛刀である"紅"は燃え盛るガレーラカンパニーの中に落としてしまった
麦わらの一味の誰かが拾ってくれれば、涙が出るほど嬉しいのだが…
だが、もう一つの武器…一丁の銃は、今もちゃんと腰に収められている
海楼石のせいでろくに動けないだろうという思惑か、もし仮に銃を持たれても対処できるという自信の表れかは知らないが――いずれにしろ私にとっては都合がいい
これは、世界に一つしかない――母が遺した"形見"だった
なかま「長官殿!裁判所の屋上にて…"麦わら"をかぶった男が叫んでおります!!間違いなくあれが一味の頭、"麦わらのルフィ"かと!!」
声が届く位置まで、ルフィはやってきた
その事実に慌てふためくスパンダムや兵士たち
四方八方へ散っていく彼らを見ていたフランキーは、静かな口調でロビンに話しかけた
「顔を上げろ、ニコ・ロビン」
「…」
「お前が仲間達の為に政府から出された条件をのんで連行された事は分かった――だが、その政府との協定も、さっきあのバカ長官にあっさり破られたはず。お前が大人しく捕まってるからといって、この先誰か助かるわけでもねェ。もうあいつらの助けに応じてここを脱出するしか道はねェ筈だ。なのに…ずいぶん冴えない顔してるじゃない…」
ロビンの横顔は決して明るいものではない
「まるでお前一人がまだ何かから逃げ回ってるみてェによ…仲間が死ぬことでも恐れてんのか?お前が目を逸らしてたら、あいつらお前を救えねェんだぞ!!」
『そうよ、ロビン。"何も"、心配することはないのよ?』
2人の言葉に、しかし変化はあまり見えない
そのあまりにも強情なロビンの態度に呆れたのか、小さくため息をつくフランキー
そして何かを決めた瞳をロビンに向けた
「…今からお前らを麦わらに会わせる」
「え!?」
『どうやって……』
アリスの質問は、途中でかき消えた
.
[ 85/145 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]