82
「では衛兵!この3人を鎖で繋いでおけ!ニコ・ロビンとウィザー・D・アリスの海楼石の錠は決して外すなよ。カティ・フラムは"インペルダウン"へ、ニコ・ロビンとウィザー・D・アリスは"海軍本部"へ。護送船の準備が出来次第"正義の門"をくぐり出航する!」
スパンダムの言葉の後、3人は部屋に控えていた衛兵たちの手によって連れ出され、廊下の壁にそなえつけられた鎖に繋がれてしまった
フランキーの力でも引きちぎるのは難しいと思われる太い鎖を前に脱出するのはほぼ不可能だった
目の前を慌ただしく駆け抜けていく海兵をぼんやりと見ながら、3人は大人しく繋がれていた
「…つーか、お前マジであのウィザー・D・ユリアの娘なのかよ」
25人目の海兵が前を横切った頃、ふとフランキーに話しかけられ視線を彼にうつした
『……そうよ』
ウィザー・D・ユリアと言えば世間一般的には"大罪人"だ
革命軍として活動していたという事以外の素性は闇に隠された、その首に3億ベリーもの大金をつけられた女傑
20年前に海軍によって捕らえられ処刑されたと聞いていたが――まさかそのユリアに娘がいたとは
「だが言われてみればその赤髪や顔立ちもまァ似てる気も…」
手配書の写真でしか見た事がないが、燃えるような赤髪と美しく整った顔立ちも…よくよく考えてみれば似ている気もする
『…母親似だってよく言われるからそうかもしれないわね』
「そのお前が何で大人しく捕まってんだ?」
『ルフィが…麦わらの一味が助けにきてくれると信じてるから』
エニエス・ロビーに到着して初めて、彼女は笑みを浮かべた
信頼しきった、一片の疑いもないと分かる笑顔
『ロビンを助けてくれるって、信じてるもの…』
その言葉に僅かに反応を示したロビンは、顔をあげて彼女を見る
揺れる瞳の中に深い絶望と僅かな光を見つけ、アリスは柔らかく笑う
『ねぇ?ロビン』
「……」
何かを言おうとしたロビンの言葉は、目の前を通り過ぎていった38人目の海兵によって遮られた
今までの37人とは明らかに様子が違い、焦りを隠すことなく勢いよく走って…スパンダムがいる部屋の扉を勢いよく開けた
「スパンダム長官っ!!」
バンッ!!
「うわ――っ!ビックリした!!何だ貴様ァ!ノックをせんかァ!!うっかりボタンを押すとこだった!!」
本当に驚いたのか、大きな声がこちらにまで聞こえてきた
.
[ 83/145 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]