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「人の心配をしている余裕があるのか?悪魔の土地"オハラ"の忌まわしき血族め!貴様の存在価値など俺が見い出してやらねば"無"に等しいものだったんだ!!俺には十分感謝するんだな!!」
上からロビンを見下ろし、声高々に言い放つスパンダム
「…あぁ、そういえばさっきお前らを取り返しに来たバカがいたなァ」
「!?まさか…!」
「なァに、もう今頃全員捕まってる頃だろうが…"麦わらのルフィ"とその一味だ…!このエニエス・ロビーの一万の兵力の前にはゴミ当然だったようだな!!まァ監獄への船を出すとこだ。手土産にちょうどいい…このまま"インペルダウン"へ連行するつもりだ」
インペルダウン――それは大監獄の名前
それを聞いて、ロビンの顔色がさっと変わる
「待って…約束が違うじゃない!!私があなた達に協力する条件は彼らを無事に逃がす事だった筈よ!!」
「…何を必死にイキリ立ちやがって…」
声を荒げたロビンを冷めた目で見て、ルッチに話しかける
「ルッチ、我々が出した条件を正しく言ってみろ」
「"ニコ・ロビンを除く麦わらの一味の6名が無事ウォーターセブンを出航すること"」
「あぁ…そうだな。あいつらはウォーターセブンを"無事に出航して"…ここへ来たんじゃねェのか!?」
それにロビンは自分が交わした協定が反故にされようとしていることにようやく気づく
「何ですって…!?まさかそんなこじつけで協定を破る気じゃ…!?」
「…っどうしようもねェクソだなコイツら…仁義の欠片も持っちゃいねェ」
『何が"正義"よ…』
その言葉に逆上したスパンダムは床に倒れているアリスら3人を何度も何度も足で蹴りつけた
「黙れこのクズ共ォ!!」
ガンガンガンッ!
「そもそもてめェら罪人との約束なんざ俺達が守る必要すらねェんだ!調子にのんじゃねェ!!海賊をダマしてとっ捕まえる事くらい海軍ですら公然とやってる事だ!!」
『…っ』
体中が悲鳴をあげるが、意地でも声はもらすまいと固く唇を噛みしめる
こんな男に声を聞かれるぐらいなら死んだほうがましだ
疲れたのか飽きたのかは定かではないがようやく男の足がどかされた後も、ただひたすら唇をかみしめ続けた
悔しくて悔しくて……今すぐにでも目の前で高笑いしている男を殺したくて殺したくてたまらなかった
それでも今は我慢するしかない――ルフィたちが助けに来てくれるまでは――…それまでは、我慢…
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