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『ロビンに手を出さないで!!』
動けない体に鞭をうち、倒れたロビンとスパンダムの間に入り込むアリス
――いくら"罪人"として連れて来られているとはいえ、無抵抗の女に拳を握るような男はクズだ
「あァ?」
アリスを不機嫌そうに見たスパンダムだったが…一瞬で表情を変える
「お前もお前だよなァ"魔女"…この世に"生まれてしまってから"30年…逃げ回ってきた人間が、こうして今俺の前にいるなんてなァ?」
『……』
ニヤリと笑い、スパンダムは言葉を続ける
「お前、俺が何も知らないとでも思ってんのか?"魔女"アリス……いや、ウィザー・D・アリス!!」
『――!!』
口に出された名前に、アリスは目を見開く
しかし、それはCP9も同じだった
「ウィザー・D・アリス…!?」
「おいおい、その名前と言えば…」
手配書には意図的に記されなかったファミリーネーム
だが、そのファミリーネームはこの場にいる全員が知っていた
「ウィザー・D・ユリア……あの"鮮血のユリア"の娘だってのかァ?長官!」
「革命軍の幹部…20年前に死んだ、あのユリアの娘じゃというのか…」
『……、何故あなたがそれを…』
動揺のあまり掠れた声で呟いたアリスの前髪を、スパンダムは鷲掴みにして持ちあげる
『……っ!』
「俺には色んなコネがあるんだよ!ウィザー・D・ユリアの死後、赤髪の船に乗っているから政府も手出しができなかったが……バカなお前はわざわざ船を降りて俺の前に現れた!!これ程愉快なことはない!!」
「アリス…!!」
痛みに顔をしかめるアリスの名をロビンは呼ぶ
その声で何か思いついたのか、パッとアリスの髪から手を離し、ニヤニヤと笑いながらスパンダムはロビンを見た
『…っ』
力なく地面に倒れたアリスは、人知れず唇を噛みしめた
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