紅の魔女 | ナノ




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「フフフ…ワハハハハハ!!最高の気分だ…!」


海楼石の手錠で拘束されたロビン、丈夫そうな太い鎖を幾重にも巻かれているフランキー、そして力が入らないため座りこんでいるアリス

長年政府が追い続けてきた罪人を前に、スパンダムは愉快だと笑う


「8年前のあの事故でよく生きていられたもんだ…カティ・フラム。そして世界が危険視し、追い続けてきた女…ニコ・ロビン、そして"魔女"アリス」


名前を呼ばれても無言でただ床を見つめる


「世間の人間達は今日の日の我々の働きが、どれ程尊く偉大な仕事であったかを知らん。それが知れるのは事実上まだ数年先の話になるだろうな」


目を血走らせ、一人悦にはいって演説する男の軽い言葉は右から左へ抜けていく


「俺に言わせりゃ今の政府のジジイ共の正義は生ぬるい!犠牲を出さねば目的は果たせねェ…こちとら全人類の平和の為に働いてやってんだぜ!!その俺達の邪魔をする愚か者共は大きな平和への犠牲として殺してよし!!俺達が寄こせと言う物すら大人しく寄こさねェ"魚人"も、正義への謀反者として殺されて当然だァ!!」


笑うスパンダムの言葉に反応したのは今まで大人しくしていたフランキーだ


「…!トムさんが命を賭けて設計図を守ったのは、てめェみてェなバカがいるからだろうがァ!!」


唯一自由になる口で、フランキーはスパンダムの頭に思いっきり噛みついた

痛みに悲鳴をあげながらもスパンダムは脇で見ているだけのCP9に助けを求める

それにクマドリが応じ、いとも簡単にフランキーの体を床に叩きつけた


「あ、あの時から気性は変わってねェ様だな、カティ・フラム…」


倒れているフランキーを上から見下ろし、その顔に靴をのせる


「もっと早くにお前が生きてて設計図を持っているとわかっていりゃ、こうも苦労する事ァなかった…お前なら過去の罪でしょっぴく事も、た易いからな!!」


ぐっと力を込められ、フランキーの顔が歪む


「――それに引き換えお前の兄弟子アイスバーグは厄介だった」


腕一本で町をまとめ上げ、大会社を組織した後、恨みを抱いているはずの世界政府に自ら近づき、会社を"世界政府御用達"という地位を確立させたアイスバーグ

造船会社ガレーラカンパニーの社長でありウォーターセブンの市長――これ程の地位を確立されてしまえば、政府側も容易く手出しできなくなってしまったのだ

だからこそルッチらを派遣し、5年もの間スパイ活動をして設計図のありかを探した


「頭のいい男だったよあいつは!だが風は俺の方に吹いてきた…!ちょうどシビレを切らし強行策に出ようとしたその時だ…"大将青キジ"より吉報が届いた――かのニコ・ロビンが海賊船に乗って、ウォーターセブンへ向かっていると!!」


「!」


「それを受け俺は"バスターコール"の許可を含む全ての状況を作戦に組み込んだ!シナリオに多少の変更はあったものの…見ろ!古代兵器復活の"引き金"に加え、"世界の絶望"とさえ称される"魔女"までもが今俺の目の前にいる!!」


『……』


「分かるか!?世界中に風は今、俺に向かって吹いているんだ!!望めばどんな大国も支配できる程の"力"が今、俺の手中にあるんだ!!」


高笑いするその姿は、とても海軍…正義の機関に属する人間にはとても思えない

――なぜよりにも寄ってこのような男に青キジは"バスターコール"の権限を…

その疑問をロビンも感じたのか、隣から問いかけが聞こえてきた


「……青キジはなぜあなたに"バスターコール"の権限を…」


「……!?んん??この俺に質問をするなァ!!無礼者めがァ!!!」


「アウッ!!」


『ロビン…!!』


一切の手加減を見せなかったスパンダムに殴られ、ロビンはその場に崩れおちた

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