76
「だがまァ実際に"古代兵器"がこの世に出現した時、当然政府歯海賊達の時代を終わらせ――」
『その強力過ぎる力を持て余し――辿る未来は"破滅"』
世界を滅ぼす程の力を"古代兵器"は秘めているのだ
アリスの言葉にフランキーは小さく頷く
「ウチの師匠が設計図を守る為に命をはったのは、そんなくだらん未来の為じゃねェ。俺はこのまま捕まる気はねェぞ。となりゃ俺一人逃げきれても意味はねェ。お前らも何とか麦わら達のトコへ帰るんだ」
古代兵器の引き金となりうる力を持つ人間が政府に捕まってしまえば絶望でしかない
政府には天才科学者だっている――脅威は一つでも減らしておいて損はない
しかし、それでもロビンは首を縦に振らない――振る事が出来ない
「ムリよ…私は一緒にいるだけで彼らを傷つける…!」
"バスターコール"という言葉が、ロビンを捕まえて離さない
『……ロビン…』
その心情が分かるが故に、アリスはかける言葉が見つからない
だがフランキーは何言ってんだとばかりの表情を浮かべる
「傷つけるのはお前じゃねェだろ?政府の人間もお前の存在を罪と言うが、どんな凶器をかかえてようとも…そこにいるだけで罪になるなんて事はねェ!!」
存在する事が罪じゃない
『………』
その言葉に、アリスは瞼を閉じる
ずっと…ずっと、自分達は存在を否定されてきた
母も、祖母も、その先祖も―――ずっと、存在を否定され、生きていることが"罪"とされてきた
その一族に生を受けたことを後悔したことは今まで生きてきた中で一度だってない
だけど――それでも、その言葉は今まで迫害されて生きてきた人間にとって、涙が出る程嬉しいものなのだ
"生きていていい"――そう、言ってくれているようで
「……列車が止まった」
海列車が減速し、とうとう止まった
それはつまり――エニエス・ロビーに到着したということ
『……』
ゆっくりと、閉じていた片目を開いた
.
[ 77/145 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]